チーズビターホーム

【文、絵】:搭杢煉瓦 【異形変身 グロ注意】 ある日、一匹の子猫が母親とはぐれ、辺りを彷徨っていた。 「ミャー、ミャ〜〜、ミャ〜〜〜(ママー、どこぉ〜、おなかすいたよぉ〜)。」 「ミャー、ミャ〜〜(なんらぁ〜?このにおい?)。」 子猫は路地裏にある一軒の建物の中に入っていった。 「よし、ついに完成したぞ。この液体を飲めば俺も・・・・・・・。」 そこには白衣を着た40歳前後の男性が紫色の液体の入った容器を手に取り、 それを飲もうとしていた。 そのとき、好奇心旺盛であるその子猫は液体の入った容器を目掛けて飛び込もうとした。 「ミャアアアア〜〜ン(なんらぁ、それぇ〜〜)。」 「ん?あっ、コラッ!!やめろっ!!」 男は子猫に気付き、容器を高い棚の上に置いた。 「おっと!!危ねえ、もう少しでこぼれるところだったぜ。」 「ミャ〜〜ン、ミャ〜〜ッ(こんにちは〜〜、なにちてうの?)。」 男は冷たい視線で子猫を睨み付けた。 子猫は顔をキョトンとしていたのだが男は両手を広げ、子猫の身体を 思いっきり掴むと暴れ始めた。 「ミャー、ミャ〜〜、ミャ〜〜(なにするんらぁ〜、はなせぇ)。」 子猫は男に捕まり、不快に感じていた。 「随分と威勢のいい子猫だな。おまえ、いったい、どこから来たんだ? 迷子にでもなったのか。助けたいところだが生憎、俺は忙しくてな・・・・・・・・。 おっ、そうだ!いいこと考えたぞ!」 男は急に不気味な笑みを浮かべた。 「お前に用ができたぞ。悪いが少しここに残っててもらおうか。なーに、心配するな。 手荒な真似はしないさ。」 「ミャアア〜〜ン(なんらぁ〜)。」 子猫は男を、不審そうに見ていた。 「お前にはこれから実験体になってもらう。本来、鼠で試すつもりだったが、お前の 身体のほうが精度の良い結果が得られそうだ。是非試させてくれ。それにしても お前、運が良かったな。この容器に入っている液体、俺より先に飲めるんだぞ。」 男は子猫を両手で持ち、一つの台の上のところまで運んだ。 「ミャ〜〜(くるちぃ〜〜)。」 「我慢してくれよ、すぐに終わるからな。へへへ。」 「ミャアアアン〜〜、ミャアアアーーンッ、ミャアアアーーンッ (なにするんらぁ〜〜、はなせぇ〜〜、わりぃーものぉ〜〜)。」 男は子猫をその台の上に乗せて身体を調べ始めた。身長、体重測定から始まり、 子猫の肉球を押してみたり、小さな耳、短かくて太い尻尾を掴んで触ったり、 眼球にライトを当てたり、口の中を覗いたりしてみた。 さらに子猫の脳、心臓、胃腸など、それは臓器にまでわたり細かく分析され データが取られた。 そして子猫の過激な身体検査がすべて終えたころ、子猫は欝気味になり、かなりの ストレスを感じていた。 「ふふふ、いろいろデータが取れたぞ。おまえ、至って正常だな。実験材料として 不足なしのようだ。生後2〜3ヶ月、性別はメスか。可愛いじゃないか。死んでも 怨まないでくれよ。怨むならお前から目を離した母親を怨むんだな。へへへ。」 男は容器を取り出し、子猫の身体に合わせて適量だけとって別の容器にうつした。 そして子猫の口を無理やりこじ開けて不気味な紫色の液体を飲ませた。 「さぁ、飲め!!欲しかったんだろ、これが!!」 「ミャー、ミャアアアア〜〜ン(くるちぃ〜〜、たつけてぇ〜〜)。」 子猫はそれを飲むと身体が震え始め、身体が熱くなり始めた。 「ミャ〜、ミャアア〜〜、ミャアアッン、ミャアアアンッ!!! (くるちいよぉ〜、ママ〜、たつけてぇ〜〜)。」 子猫は喘息になったかのように息を切らして必死に鳴き続けた。 熱気により子猫の身体から蒸気が立ちのぼった。身体の筋肉や骨、内臓は 飛び出すかのように膨張し、子猫の身体は次第に変わっていった。 子猫は精神的にも肉体的にもこれまでにない激しい苦痛を味わった。 数十分後、子猫の身体の変形はようやく落ち着いてきた。 だが、そこにいたのは・・・・・・・・・・。 『子猫』ではなく『人間の女の子』だった。 「あああ・・・・・ああああああ・・・・。」 「おおおっ、これは見事な変身だっ!!まぁ、耳と尻尾はそのまんまだが、 また飲ませれば完全に人型になるだろう。とりあえず成功だな。これを飲めば 俺も・・・・・・・へへへ。」 「おうちかえう。おうちに、かえちて。」 『子猫』は泣きながら男に言った。 「ん?ああ・・・・・帰してやるさ。・・・・・・・(人間になったお前の 身体を研究し尽くしたあとでな・・・・・・まぁ、生きてるかどうかはお前の 力次第だがな、ははははっ!!!)。」 男は不気味な笑みを浮かべながら言った・・・・・・。 「それよりも次、始めようか。」 「なっ、なにするんらあああ〜〜〜、やめろおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」 男は人間となったその『子猫』の身体を押さえつけ、研究を再開した。 『子猫』は実験前同様、身体のあらゆるパーツについて細かく調べられた。 身体のすみまですべて調べつくすと今度は『子猫』の身体を使っていろいろな 実験が成された。いろいろな薬品が『子猫』の身体に投与され、『子猫』はもがき 苦しんだ。 それは長時間に渡った。『子猫』はずっと悲鳴を上げていたのだが、ついには その声が聞こえなくなってしまった。 『子猫』は苦痛とともに息絶えてしまった・・・・・・。 <了> inserted by FC2 system