皮のお下がり(after episode3)

【文】:搭杢煉瓦 【皮モノ、18禁】 五月十日、午後二時。くもり。 一人のスーツを着た男性が鞄を持ち地図を見ながら閑静な住宅街を歩いている。 「おっ、ここか。女の子が一人で住んでるって言うお宅は・・・。今日も良い獲物にあり 付けるぞ。くっくっくっ!!!」 男は悪い笑みを浮かべ玄関の扉の前に立ちインターホンを鳴らした。 「日比谷さん〜。お世話になりま〜す。お届け物です〜」 「ねぇ、いるんでしょう?日比谷さ〜ん」 男はそう言い何度もしつこくインターホンを鳴らし続けた。 (くくく、俺の名前は汰妥 安男(ただ やすお)。35歳。営業マン。営業歴13年のベ テランさ。 こういっちゃなんだが俺はあくどい手段を使って高値で商品を売り付けてきたぜ。 調べたところ、どうやらこの一軒家には女の子が一人で住んでいるらしいじゃないか。 とんだ鴨だぜ。 俺の得意な営業話術で高額で売り捌いてやるぜ。あ、そうだ。俺に抵抗してきたら犯し て言うことを聞かせようかな。はっはっはっ!!) 男はあくどいことを考えつつもひたすらインターホンを鳴らした。 すると、そのときだった。 「はぁーい。どちらさま?」 女性の声が聞こえた。 それを聞きとった安男はニヤリと笑みを浮かべ返答した。 「私、○×商事の汰妥というものです。商品をお届けに参りました」 「・・・・・・」 そう言うと扉の向こうの彼女は少し黙り込んだのだが、間を開けて扉を開けた。 「あら、いらっしゃい」 安男の前には高校のジャージを身に付けた18歳前後の少女が現れた。 彼女はヒビヤ アケミという名前だった・・・・。 容姿はとても綺麗で美しいのだが不自然な部分があった。 彼女はにこやかに笑っているのだが目は笑っておらず殺気を感じさせた。 それに肌が乾燥しており黒い髪には艶がなかった。匂いは香水で掻き消されている。 一週間お風呂に入っていないという不潔な印象を安男に与えた。 「散らかってるけど、とりあえず入ってよ」 「お言葉に甘えてお邪魔します(くっくっくっ、世間知らずなお嬢さんだな。こんな知 らない人間を中に入れるなんて、これは上手くいきそうだぜ)」 彼女は安男をリビングに案内しソファーに座るように言い、安男は腰かけた。そして彼 女はダイニングに行き、血のように妙に赤い色をした紅茶を用意した。 「はい、どうぞ。とっておきの紅茶よ」 「これはご親切にどうも。・・・・ん、これは少し変わった味の紅茶ですね」 安男は与えられた紅茶を少し飲み、アケミがソファーに腰掛けたとき口を開き鞄の中から パンフレットを開き商談を始めた。 「・・・・この掃除機・・・・後頭部からプラズマイオンが発生し・・・・どんなに汚 い汚れでも吸い込むんですよー。お値段は50万のところ・・・・特別にお安くして2 5万でどうでしょう?」 「・・・あら、それは都合が良いわね。ちょうど掃除機が壊れたところなのよ。是非と もその掃除機を買いたいわ」 「本当ですか?ありがとうございます。いやぁ〜、お客様は大変お目が堅い。素晴らし いご決断です!(ちょろいぜぇ。こんなに早くいくとはなぁ。ちょろすぎて張り合いが ないなぁ。へっへっへっ!!)」 安男は確実に今回も商談成立すると思いご機嫌な笑みを浮かべた。 だがしかし・・・・・。 「あら、でも・・・もうひとつ掃除機あったんだっけ。ごめんなさい。やっぱ、それい いわ」 アケミは手のひらを返したように商品を買うのをキャンセルした。 「な・・・・。そう言わず、お願いしますよぉ〜」 「いや、だからあるからいらないって」 「まぁ、そう言わず・・・・・」 「いらないから・・・・」 どうしても買うことを拒んだアケミに安男は強硬手段を取った。 「んだとぉ〜!!このガキがあああぁ!!さっさと買えよぉ。ごらあああああぁ!!!」 安男は罵倒し威圧感で客に物を強制的にでも買わせる手段を取った。これには今まで多 くの人が彼の罵倒の威力で買わざるを得なかった。 今回も目の前にいる彼女もそうなるだろうと思った。 だが・・・・。 「うっ、うああああああ!!!」 安男は叫び出すと急に身体全体に痛みを感じ痺れ始め身動きが取れなくなった。 「なっ、なんだ、これは?身体が動かない・・・・」 「うくく・・・・。ようやく効いたみたいだね。私の入れた紅茶おいしかったかなぁ?w」 彼女は急に不気味な笑みを浮かべた。笑顔がとても可愛いのだが目は相変わらず笑って おらず殺気を感じさせた。 「お、おい。俺に何を飲ませた。まさか毒か・・・・」 「ぐふふ。そんなにチープなものじゃないよ・・・あなたが紅茶だと思って飲んだのは 神経麻痺の薬を多量に・・・・それと睡眠導入薬と脳活性剤と感覚障害の薬と痛みが2 倍に成る激痛剤、傷けられた箇所に性感を感じさせる性感誤認剤を少々、そして紅茶の 味を引き出す粉を・・・・・・最後にここに住んでいる人たちや訪問客全員の血液かな。 安心して、毒と違って身体に障害や激痛はずっと続くと思うけど死なないから。あ、でも 僕が大好きなアケミ先輩の血は一切入れてないよ。僕ってこう見えてもすごくやさしい 人間なんだ」 「なっ、なんてものを俺に飲ませたんだ!このくそガキがああああぁぁぁ!!てめぇ、 犯すぞ、ごらあああああ!!!」 「ぐふふ、そんなに大きな声を出すとね。身体が痛むよwそれよりオジサン、良い商品 たくさん持ってるね。僕に全部ちょうだいよぉ」 「なっ、やめろ!何をする!!」 「ちょっと黙ってくれるかな」 アケミは近くに落ちているタオルを安男の口に無理やり抉じ開け中に入れガムテープで 封じ紐で再度縛りつけた。 安男の口は猿轡を噛まされ自由にしゃべることができなくなった。 「むんっ。むぐううううん。むうううううん!!!!」 「いくら叫んでも助けはこないよ。オジサンにひとつだけ面白いお話を聞かせてあげるね 。今までにこの家を訪れた人ってね。全員神隠しにあって消息不明になるんだよ。 いったい、どこに行ったんだろうね。オジサンも気を付けないといけないね。ぐふふ!!」 そう言いながらアケミは安男の青色のネクタイを掴み緩めた。そして次に背広、シャツ を脱がしズボンを下した。 しまいには下着もすべて下し全裸にさせた。 「・・・・私もね。実は見せたい商品があるんだ。オジサンに特別に見せてあげるね」 アケミは一旦ダイニングに行き何かを取りに行った。そしてとんでもないものを持って 戻ってきた。 「ぐふふ。これはね。私特製の出刃包丁なんだよ。これをオジサンの太ももに少し突き 刺すとね・・・・」 「うっ、うがああああ!!」 安男は激痛薬により痛みが2倍、さらに傷けられた箇所に性感を感じさせる性感誤認剤 により、2倍の激痛と多少の快楽を与えられ、神経が狂いそうになり悲鳴をあげた。 「ふふふ、痛かったでしょ?あ、それとも気持ち良かった〜?w」 アケミは安男の全身に液体を塗ってから太ももにそれを再度突き刺した。その度に安男 は悲鳴をあげ赤黒い血が流れ床にこぼれ落ちていった。 その後も彼女は殺気を出し息の根を止めない程度に安男の身体の皮膚をやさしく傷つけ てあげた。 だが、ただ傷つけた訳ではなく傷つけられるたびに皮膚が弱くなり抜け落ちそうになった。 そしてしだいに安男の身体を覆っていた皮すべてが剥がれ落ち安男の容姿は人間と呼べ るような存在ではなくなっていた。鼻も耳も口も髪も性器もすべて皮ごと削ぎ落とされ 理科室に置いてある人体模型のような容姿になった。 そういう状態となりアケミは安男の猿轡を外し自由にしゃべらせようとした。 「あ・・・あああ・・・・」 安男は呆然としていた。大量の薬の投与により、もはや神経は狂い意識はあるもののお かしくなっていた。 「オジサン、素晴らしい商品ありがとね。・・・・決剤はお金の代わりに私のとっておき の商品と交換するね。特別価格としてたくさん刺してあげるから・・・。ぐふふ」 するとアケミは出刃包丁を振り落とし皮の代わりに身体の肉をたくさん切り付けてあげた 。安男は死なないながらも意識ははっきりとしており、またしても神経は狂い苦痛を感 じていた。 「はぁはぁ。もう俺を殺してくれ・・・・」 安男は苦しむくらいなら死を望んだ。 「さっきも言ったけど、僕ってとても優しい人間なんだ。だから僕はオジサンの命まで は取らないよ。だけど、このまま帰ってもらうとオジサンの醜い姿で騒ぎになってしま うからこの家でしばらく泊って行くといいよ。オジサンにぴったりな格別良い部屋を用 意してあるよ」 そう言うとアケミは人が一人分入る程度の棺桶を一つ持ってきて、安男の身体を縛り棺 桶の中に入れ閉めた。 「オジサン。おやすみなさい・・・・。素敵な商品を僕にくれてありがとね」 アケミは安男の身に付けているもの(財布、鞄)、衣服や剥がされた皮を商品のように 大切にし別の部屋にしまい、片付けた。 翌々日のこと。 アケミは安男の財布にあるカードでパンフレットに載っている掃除機を購入し部屋の汚れ を綺麗にしていた。 「これはすごい。確かに汚れが落ちるなぁ」 アケミは満足そうに部屋を綺麗に掃除していた。何もかもがなかったかのように・・・・ 庭には何かを埋めた穴が一つ増えていた。 その日以来、安男の消息は完全に経ってしまい、彼の居場所を知る者はいなかった。 一人の少女の皮を纏った少年を除いて・・・・・。 「アケミ先輩。先輩の知ってる人間は僕だけでいいよ・・・・」 アケミは不気味な笑みを浮かべながら二階の窓から外の様子を伺い眺めていた。 「ふふふ。今日も誰も来ないね。今日も明日もこれからもずっと一緒だよ・・・・アケ ミ先輩・・・・」 少女の皮を被った悪魔は囁き続けた・・・・・。 (おわり)  
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