不可抗力(第9話)

結奈(孝雄)は少年の手に触れて強く力を込め念じた。 すると結奈が倒れ・・・・・代わりに少年が起き上りニヤリと微笑んだ。 少年と結奈(孝雄)は精神が入れ替わったのだ。 「よし、まずはどうしようか。俺は他人に成り済まして真似るのは苦手だが、俺自身が 考えた行動なら得意だ。さっそく『少年少女の入れ替わり恋愛物話』のヒロインにでも 演じてみよう」 設定・シチュエーションとしてはこうだった。 朝目覚まし時計により起こされ時間を見るとすでに8時を回っており大慌て。学校に 遅刻しそうになったので急いで制服(セーラー服)に着替え鞄を持ちダイニングテー ブルに置いてある(母親が用意したと思われる)マーガリンを付けて温められた 食パンをひとつ咥えて家を出て学校までの道を走って行き、その途中で曲がり角に あたり同年齢の男子高校生にぶつかり、その衝撃で互いの精神と身体が入れ替わっ た少女の役を演じよう・・・・・・・・と考えていた。 「よし、これでいこうw」 さっそく少年(孝雄)は少女の役を演じることにした。

「う・・・うぅ・・・・」

少女とぶつかってから2,3分の間だけ間を置いて少年は目覚めた。

「大丈夫?どこか怪我はない?」

少女はその少年に女の子っぽくやさしく声を掛けた。

「・・・・ありがとう。僕は平気だよ。・・・・・ん?あれ?なんで僕がそこに?それ
に声がいつもと違う?いったい、これはどういうことなんだ?」

少年は目覚めて早々、自身の身体がいつもと違うことに気が付いた。さらにそれに加えて
目の前には自身の姿がありさらに混乱してしまった。
だが・・・・

「落ち着いて聞いて!さっき私たちぶつかったじゃない!?そのショックで身体が入れ
替わったんだと思うの・・・・」

目の前にいる自分と瓜二つな少年が状況を説明した。

「そんな・・・・まさか・・・・・」

「とりあえず近くの公園にでも行きましょ。そこで少し落ち着けると思うから・・・」

少女は少年の手を引っ張り近くの公園の中に入って行った。
いや、客観的に見れば少年が少女の手を引っ張っているように見える。

そうして元少女は元少年に事実を確認させるために・・・・・・本当に精神と肉体が入
れ替わったということを確認させるために公衆トイレの中に入り姿見を見るようにと指
示した。

「さぁ、見てごらん。これがあなたの顔よ」

そう言って少女は一旦その場を去った。

「こ・・・これは・・・・・」

少年は姿見を見ると驚愕してしまった。
そこに・・・・自分が立っている場所にはブレザーを着た少年の姿はなく代わりにセー
ラー服を身に付けた少女の姿が映し出されていたのだから・・・・


・・・・・・という風にここまでは孝雄のシナリオ通りだったのだがこの元少年はその他
にも驚くことがあったようだ。




(第10話へ)



※執筆:2012/11/23〜2012/11/24
※公開開始日:2012/11/24



○「目次」ページへ戻る「おなにっき(((( *ノノ)」トップページへ戻る

inserted by FC2 system