不可抗力(第15話)

結奈(孝雄)は老人とともに不治の病により入院中の老人の孫娘に会いに行くことにな った。 と、その前に老人は駅前にあるドーナツ屋に寄ってドーナツを買うことにした。 なんでも孫娘はドーナツが大好物らしい。 それを買い終えた老人は病院まで雑談をしながら歩いて行った。 それから10分後のこと。 総合病院がみえた。あそこにこの老人の孫娘が現在入院しているらしい。 病院に着いた二人は受付を済ませエレベーターで上まで昇った。 そしてその階のとある部屋の前で立ち止まり軽くノックをした。 そして中へ入ると医者と女性看護師がベッドに横たわっている女の子のところにいた。 「よく痛いのを我慢できたね、愛香ちゃん」 「あいか、こんなのもうなれたもん」 「へぇ〜、それは偉いね」 「えへへ」 女の子は医者や女性看護師にそう囁き微笑み返していた。 「あら、若葉さん。こんにちは」 女性看護師がこちらに気づき挨拶をした。 「あっ、おじいちゃんだぁー」 「良かったね、愛香ちゃん。・・・・・では診察のほうはもう終わりましたので・・・・ 失礼します、若葉さん」 「ご苦労様です、先生」 そうして医者と女性看護師は部屋を去って行った。 「やぁ、愛香ちゃん。おじいちゃんが君の大好物なドーナツを買ってきたよ〜」 「わぁー。あいかのだいすきなドーナツだぁー。ありがとう、おじいちゃん」 「可愛らしい御孫さんですね」 「そうじゃろ、そうじゃろ」 「あれ・・・?おねえちゃんはだぁーれ?」 「え〜と私は・・・・稲葉 結奈っていうの。よろしくね。愛香ちゃんとたくさんお話が したいなぁ」 「わぁ〜、よろしく、ゆいなおねえちゃん」 老人は結奈(孝雄)に『少し用事があるから孫娘の面倒を見てくれないか』と頼み部屋を 出て行った。その間、結奈(孝雄)と愛香は姉妹のように仲良く雑談を楽しんだ。 少しの時間だけど二人は打ち解けることができた。 そうしていつの間にか夕方近くとなり結奈(孝雄)は愛香にお別れを言い帰ることにした。 「じゃあ、また遊びに来るね、愛香ちゃん・・・・・」 「きょうはありがとう、ゆいなおねえちゃん」 そうして結奈(孝雄)は愛香にやさしい微笑みを浮かべて部屋を去って行った。 「ああ、いつの間にかこんな時間に・・・・。俺も少々遊び過ぎたようだな・・・・」 結奈(孝雄)は廊下を歩きエレベーターへ向かおうとしたのだが老人と先ほどの医者が 何やら深刻な話をしていた。 「・・・・・若葉さん。愛香ちゃんの余命ですが・・・・・〜が悪化しており・・・・ ・・・・このまま行くと・・・・・3ヶ月も持つのかどうか・・・・・・」 「そ・・・・そんな・・・・・お願いします・・・・・先生。わしの可愛い孫娘を助け てください」 老人は泣きながら医者に懇願し続けていた。 (むっ・・・・こういう場面を見せられるとなぁ。なんだか可哀そうになってくる。な んとかできないものか。1億円があればなぁ。あっ、そうか。良いことを思いついた・・・・ 。それくらいの額なら払えるじゃないか・・・・・・・。待ってろよ、愛香ちゃん・・・ ・・・・おじさんが社長令嬢の稲葉 結奈として助けてやるからさ) 結奈(孝雄)は計画を一部変更することに決め実行させるために動き出した。 (第16話へ)


※執筆:2012/11/25
※公開開始日:2012/11/25



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