不可抗力(第10話)

「ああああ・・・そんな・・・・・」 「どう?驚いた?」 だが、この少年にとって驚くのは他にもあったようだ。 「あああ、この顔は結奈ちゃん?」 「・・・・えっ?」 「・・・・ああ、やっぱりどこからどう見ても結奈ちゃんだ!!ということは僕にぶつ かったのは結奈ちゃんなの?」 どうやらあのときのOL同様、この少年も結奈の知り合いだったようだ。 (また、知り合いかぁ。俺、成り済ます苦手なんだよなぁ。まぁ、できるだけ話を合わ せてみるか) 「あなた、私のこと知ってるの?」 「ほら、僕だよ、僕。先週君に告白した・・・・荒太 晃広(あらた あきひろ)だよ」 (そういえば、この子の日記帳にそういうことも書いてあったな。あそこに書いてあっ た『A君』っていうのはコイツのことだったのか。酷い悪口が書かれてあって可哀そうだ からちょっと良い思いをさせてやるかw) 「ごめんなさい。どうやら私、ぶつかるときに頭を打って記憶が混乱しちゃったみたいで 。晃広くんだったね。思い出したわ」 「いえ、こっちこそすみません。ぼんやりとよそ見をして歩いてたもので・・・・。 まさか結奈ちゃんにぶつかってしまったなんて本当にごめん」 「過ぎてしまったことはもういいよ。それよりもどうやったら身体が元に戻るのか一緒 に考えましょう」 「どうやって・・・・だろう・・・・・」 晃広(孝雄)は知的に考え込むフリをした。そして間を少し置いてから言葉を発した。 「私たちってぶつかった衝撃で身体が入れ替わったんだよね(もちろん、俺の能力だけ どね)」 「・・・・そうだね」 「だったら同じ衝撃のようなものをもう一度作用させればいいんじゃないのかな。不可 抗力が起きるくらいの勢いで思いっきりね」 そしてまた一度考え込むフリをしさらに発言した。 「だけどそれは怪我をするかもしれないからもうひとつの方法で試してみたほうがいい かも・・・・」 「もうひとつの方法って?」 「知りたい?それはね。・・・・・こうするんだよ」 「なっ・・・なにを・・・・!!」 晃広(孝雄)は結奈(晃広)の身体に抱きつき不意をついて床に押し倒した。 (第11話へ)


※執筆:2012/11/24
※公開開始日:2012/11/24



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