怪人エックス 第2話「福袋の中身(後編)」

そこには俺と同年齢くらいの制服を身に付けた少女(気絶状態の女子高生)が入っていた。 見るからに彼女は目覚める気配は一切ない。 俺はそれを見て驚愕した。 「これは一体どういうとなんだ・・・・」 俺は後ろを振り返り少女に言おうとした瞬間・・・・ 「あ〜らよっと〜!!」 少女はいきなり俺の頭と袋の中に入っている女子高生の頭を掴み乱暴にぶつけた。 すると急に視界が変わり目の前に気絶し床に横たわっている俺の姿が見えた。 「こ・・・これはいったい?」 声のほうもなんだかおかしい。 女性のような甲高い声が俺の口から洩れた。 少女はそれを見て笑顔を浮かべ大きな姿見を運び俺に見せた。 するとそこには俺の姿はなく代わりに袋の中に入っていた女子高生の姿があった。 「ほらね。『可愛いモノ』が入ってるって言ったでしょ?信じられないかもしれないけど 私ってね、『生まれつき他人の精神と肉体を入れ替える』ことができるの。その力で お兄ちゃんとそのお姉ちゃんの身体を入れ替えたのよ。そう言うわけで今のあなたは 高校2年生の白仲岑香(しらなか みねか)ちゃんということになるね」 「おい。ふざけるな!俺の身体を元に戻せ!」 「ぐふふ。残念でした。福袋は一人一回までなの」 少女はクスクスと嘲笑いをしながらそう囁き気絶している俺の身体から財布を抜き取り 1万円札を取った。 「この元気そうな身体は私が頂いたわよ。ぐひひ」 そう囁いた後、少女はニヤリと怪しい笑みを浮かべ靴・ソックスを脱いで素足となり意識が なく床に横たわっている俺の身体の股間部分を足でやさしく撫でるかのように踏みつけた。 「あら、立ってきたんじゃないの・・・お兄ちゃんのチンポ。女子中学生に踏みつけられている のがそんなに気持ち良いの?うひひ」 「おい。ふざけるな。やめろ!」 「はいはい。ご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしておりますっと・・・・・・」 そう俺に囁き俺の元の身体を福袋の中に速やかに閉まった。 そして今の女子高生としての俺の身体を強い力で押して『お店』を出て行かせた。 俺は『身体を元に戻せ』と何度も扉を叩き訴えると少女がようやく出てきたのだがクロ ロホルムを嗅がされ気絶させられた。 気が付いたときにはそこは駅中の女子トイレの個室の中にいた。あの少女がここまで運んで きたのだろう・・・。あんな小柄な身体でよくここまで運ぶことができたなぁと俺は思った。 時刻を見ると楠夫が体調を崩してから1時間が経過していた。 恐らく体調が回復し俺のことを探していることだろう。 俺は女子トイレから出ようとしたら近くに鞄があるのを発見。 その中には生徒手帳や筆記用具・教科書・ノート・携帯電話などがあった。 おそらくこの身体の持ち主である岑香の物のようだった。 俺はとりあえず女子トイレを出て駅構内に出ると楠夫を偶然見つけた。 声を掛けて近づき今までの出来事を話してみたのだが信じてもらえなかった。 仕方なく俺は強引に楠夫の手を引っ張りあの廃ビルにまで行ったのだが『お店』があった 場所には何もなく俺をこんな目に合わせたあの『少女』もいなかった。 だが何もないと思われていたのだが楠夫が『足元に何かが落ちている』と言って手紙を 発見し俺に手渡した。 俺はそれを受け取り読んでみるとそこにはこう記されていた。 『やぁ、兄ちゃん。この身体は頂いたよ。気絶している間に遠くに逃げさせてもらった。 いくら探しても無駄だよ。誰にも我の真実を知ることはできない。だから我を探す のはあきらめて今後はそのお姉ちゃん・・・白仲岑香として生きていくがいい。その女 は家柄も良く肉体の具合も良い。すぐに自身の身体よりも気にいると思う・・ ・・・それでは今後の君の健闘を祈ってる・・・・怪人エックスより・・・・・・』 その内容は謎めいており、またそれはどこか引っかかるような違和感のある文章だった。 特に言葉遣いが・・・・・ そしてどうやら俺が気絶している間に部屋にある『人間が入っていると思われる大量の袋 』とともにどこかに逃げてしまったようだ。でもそんな重い物をどうやって・・・・ 分かった手掛かりといえばそれが『怪人エックス』と名乗っているあの少女の仕業のよ うだ。少女の顔は覚えているのでいろいろ探せば付きとめられるはず・・・・。 俺はそう確信した。 楠夫はその手紙に記されていた内容と俺と楠夫にしか知り得ない秘密の言葉を言ってな んとか信じてもらえた。楠夫もいろいろと協力してくれるそうで少し安心した。 俺はとりあえず楠夫に携帯電話の番号を教えこの女子高生・・・・白仲岑香として成り 済まし生活することにした。 俺をこんな目に合わせた怪人エックス(あの少女)の居場所を突き止めるまでは・・・・・。 (つづく)

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