怪人エックス 第1話「福袋の中身(前編)」

今年の4月から高校3年生になるということでお年玉を多めにもらった俺・・・・・外丘 智明(とのおか ともあき)は友達の越足 楠夫(えつだち くすお)と一緒に街のほうへ 遊びに出掛けた。 だが店で買い物をしているときに楠夫は俺の奢りで先ほど定食屋で食べた昼食を食べ過 ぎたためか、腹痛を訴え駅のトイレの個室の中に入っていった。 「おい。おま・・・・大丈夫か・・・?」 『・・・・。悪いけど時間がかかるからその辺をブラブラしてくれ。しんどいから1時 間くらいかかるかも・・・・』 「そんな大げさな・・・・。まぁ、いい。調子が良くなったら電話で知らせてくれよ」 『ああ・・・すまない!そうするよ!!』 ・・・・・・という風にやりとりをして俺は楠夫をその場に置いていき駅中を少しブラ ブラし本屋を見かけたのでそこで時間を潰すことにした。 だが本屋に入ろうとしたそのとき・・・・・ 「そこのお兄ちゃん。暇ならちょっとあたしのお店にこない?」 後ろを振り返るとそこには中学生くらいの可愛らしい女の子が立っていた。 「ああ、別に構わないけど・・・」 親に言われてお店の手伝いをしているのだろうか。その女の子が自ら仕事をするにはま だ幼すぎる。 それにお店とは一体なんのお店なのだろうか。俺がその子に問うと・・・・・ 『可愛いものがたくさん置いてあるよ』 とだけ言っていた。 俺はそのキーワードから、ぬいぐるみ屋とかキーホルダーとかのアクセサリが置いてあ る店だとかなんとなくそんな感じのお店を想像してしまった。 そう想像を巡らせながら少女の後を歩き駅から徒歩5分ほど歩くと今は使われていない 廃ビルがあった。 なんとなく薄気味の悪い雰囲気が漂っていた。 「ここの2階にお店があるの。私についてきて」 (本当にこんなところにお店なんかあるのか) 俺は心の中でそう呟きながら可愛らしい少女の甘い言葉に釣られ、少女の後をホイホイ 付いて行ってしまった。 「さぁ、中へ入って」 「ああ・・・・」 俺は扉を開けるとそこには人の身体がスッポリと入るほどの大きさの袋があちこちに置 かれており『お店』というよりは商品の置かれている『倉庫』のようだった。 「なっ、なんだここは・・・・?」 「何って。私のお店よ」 少女はそう囁いた。 今まで以上に危ない雰囲気が漂ってきた俺は適当な理由を付けてその場を退散すること にした。 だが・・・・・・。 「あ、そろそろ友達を迎えに行かないと。あいつ、そろそろ調子良くなってると思うし 。というわけで、じゃーな・・・。店のお仕事頑張れよ・・・・」 と言ってその『お店』から立ち去ろうとした瞬間・・・・・ 「待ちぃーや!兄ちゃん!まだ商品買っとらへんやろ!!」 少女は容姿には似合わない荒い口調で大声で言った。 その荒い口調は関西弁のようだけど訛りが関東人のようであり、わざと関西弁を言って いるように聞こえた。 しかも肩を思いっきり掴んでおり女の子とは思えないほどの威圧感があった。 「・・・・商品ってどこにあるんだよ?」 俺は少女に恐る恐る言うと少女は不気味な笑みを浮かべながら辺りにある大きな袋を指 差した。 「福袋や。一袋10万円といきたいところやけど1万円で勘弁したるでぇ。好きなもんを 選ぶとええ・・・・・あ、ごめんなさい。好きな袋を選んでね。どれもみんな違ってて 『可愛いモノ』が入ってると思うから・・・」 少女は途中から再び女の子の口調に戻った。 「じゃ・・・じゃあ・・・・これにしようかな」 俺はちょうど一番近くに置いてある袋を指差した。 「はい、毎度あり♪さっそく開けてみてね♪」 俺は少女に言われその袋を開けてみた。 「なっ・・・・・これは・・・・!!!」 そこには・・・・・・・。 (つづく)

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