身体強盗の性活 第10話「加奈、元に生活に戻る。」


「きゃっ!!」

鞘香はいきなり足を掴まれた。

「はぁはぁ、よくもやってくれたな。このまま帰れると思うなよ…」

亮司は目を覚まし鞘香の小柄な身体を抑えつけ頬にナイフを突き付けた。

「あの装置が壊れたらもう入れ替わることはできねぇ。……だったら俺らと一緒に逝く
しかねぇーわなぁ…!!!へっへっへっ!!!…おい、兵吉。起きろ!!あれを起動さ
せろ」

「へい、わかりやした。あにきぃ」

兵吉もいつの間にか目を覚ましていた。

「な…何をする気?」

「へへへ、それはこれからわかるぜぇ!!」

「用意しやしたぁ〜」

兵吉は時限爆弾をセットした。

「なんてことを…」

「ははは、これですべてが終わりだぁ。こんなくだらねぇ人生…すべて吹っ飛べばいい
んだ。あのとき俺は銀行に強盗して大金を手に入れ幸せに暮らすつもりだった。それが
お前みてぇーな、正義ぶってる青臭いガキに捕まってよぉ。全く散々な人生だったぜ
ぇ。……だが、嬢ちゃんの身体と入れ替わったときはやり直せると思ったんだ。結局
ダメだったがな。俺もいつかはお前さんみたいになりたかった時期があったんだぜぇ。
へへへ……」

「え・・・・・」

亮司は今までのろくでもない人生を振り返りながらひたすら口走った。
そうしているうちにも時間が過ぎていき爆発まで少しとなった…

「このままでは……」

と、そのときだった。廊下で誰かの足音が聞こえた。
誰かがこの部屋に近づいてくる……。

「へへへ・・・・。じゃーな。もう会うことはないかもな……」

亮司はそう言い爆発する前にナイフを床に捨て鞘香を解放した。
彼女は加奈のもとへ行きその場を去ろうとし廊下へ出た時、何者かによって口を塞がれ
麻酔のようなものを嗅がされ意識を失った……

少しして爆弾はついに爆発してしまいアジトのあるビルは崩れ去った。


「う・・・うう・・・・。ここは?」 「おお、気が付いたか、加奈」 加奈は病院のベッドで目を覚ました。両親と姉が加奈の見舞いに来ていた。 隣には鞘香が眠っていた。 話を聞くと加奈と鞘香は公園のベンチで気絶し倒れていたそうだ。 ビルのほうは瓦礫だらけで撤去作業のため立入禁止となった。そしてそこには遺体が二 つ見つかったそうで警察は急いで身元の確認を急いでいるらしい。 加奈はアジトの中で爆発する直前で意識を失っていた。誰かが助け出し公園まで運んだ のだろうと推測した。……おそらくあの人だろうか…加奈はそうとしか思いつかなかった。 何はともあれ、身体が元に戻り助かったのだから良しと思った。 加奈は心から喜びが満ち溢れた。
数日後……。 加奈はすでに退院し元の生活に戻っていた。 「おはようございます、加奈さん」 「おはよう、鞘香ちゃん」 「今日も良い天気ですねぇ」 「そうだね…」 空は雲ひとつなく晴れており加奈の退院を祝うかのようだった。 銀行強盗に身体を奪われ酷いことをされたという悪夢は未だ忘れられないのだが、加奈 は改めて元の日常に戻って来ることができたことを実感し嬉しく思った。

―完―

        

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