雨時々ザーメン3 第2話「雨時々炸麺」



玲奈と智香は彼女に指示され二階の部屋の小物を整理していた。

「おお、順調のようだね。後は自分でやるからいいよ。そうだ、帰る前にコーヒーでも
飲んでいきなよ」

「え、いいんですか。ありがとうございます〜」

午後3時。
二人は彼女によりリビングルームにもてなされ温かいコーヒーとチョコレートケーキを
御馳走になった。

「わーい、ケーキだぁ」

「まったくもう、智香ちゃんったら甘党なんだから・・・・」

「えへへ」

「何から何まで本当にありがとうごさいます」

「別にいいよ。手伝ってもらったお礼さ。いや、要領が悪い私にとってはこうして代わ
りに掃除や小物整理、荷造りをしてくれる人がいて助かったよ。おかげで2週間分の仕
事が1日で終えて良かった。がははは!」

「そ、そうですか。それは何よりです」

「このチョコレートケーキ上手い!!」

智香はひたすらケーキを食べ続け、玲奈は冷静に話を聞いていた。

「そういえば、昼に食べたあの料理おいしかったですね・・・・たしか名前なんだった
かなぁ」

「ああ、あれは炸麺(ザーメン)といって油でパリパリに揚げた麺に餡をかけた、皿うどん
のような中華料理だよ。簡単だから今度作ってみるといいよ」

「そうですね、今度試してみます」

実は二人が彼女の家の中に招かれた時、ダイニングルームに案内された。そのときに昼
ご飯ということで彼女が炸麺(ザーメン)を用意してくれた。

その前にコンビニで肉まん類を買って食べたのだが、せっかく用意されたので玲奈と智香
は頂くことになった。
玲奈は少しだけ食べて智香は食欲旺盛のようでたくさん食べた。玲奈の分まで・・・・。
二人は体質はほとんど変わらないのだが、なぜかそうした食に対する差があった。

もしかして智香は秀明に長時間、体内に寄生されていたため胃袋でも膨張したのかと思
われていたのだが別にそんなことはなかった。
そういえば昔から智香は日頃からよく食べていたので元々そういうたくさん食べる人で
やる気の問題とかそういうものなのかもしれない。

(恐るべし、智香ちゃんの胃袋・・・・!)

玲奈は智香の食べっぷりを見て心の中でそう呟いた。
気が付けば智香は玲奈の分も取り食べていたという・・・・・。

食べ終わったら3人はそのまま雑談を楽しんでいた。
そうしているうちにも時間が経ち、すっかりと日が暮れようとしていた。

「ああ、もう夕方の5時になってるー。そろそろ帰らないと・・・・」

「こんなに長居させてごめんなさい」

「いやいや、別に良いんだよ」

彼女は二人を玄関まで見送った。
そして玄関のドアを開けると夕立が降っていた。

「あ、雨降ってる」

「どうしよ・・・・完全に晴れると思って傘持ってきてなかった」

二人は困っていると・・・・

「傘ならあるよ。こうして困っている人をみかけたらカサをカサナイ訳にもいかないか
らねぇ」

彼女はちょっと上手いことを言いつつ二人のために傘を用意しようとした。
だが・・・・

「あ・・・・ごめん。今、うちにある傘、これだけだった。二人で仲良く使ってね」

「ありがとうございます!」

「やったー。傘だぁ!」

玲奈と智香・・・・二人は彼女にお礼を言い一緒に仲良く傘の中に入り帰って行った。

帰り道・・・・。
雨の中、二人は昼に彼女が作ってくれた炸麺がとてもおいしく印象に残ったようでそれ
を話題にしながら帰って行った。

今日は雨時々炸麺・・・。







        

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