雨時々ザーメン3 第1話「食欲の秋」




秀明を完全に消滅させたあの日からおよそ二週間後、最近は秋晴れに恵まれ過ごしやす
い日々が続いた。

そんなとある日曜日の昼間のこと。
智香と玲奈は助けてくれた恩人である彼女の家に行って引越しの手伝いをすることにな
った。

「智香ちゃん、そろそろ行くよ」

「うん、待って。玲奈ちゃん」

智香と玲奈は秋っぽい服装で一緒に出掛けた。

「今日は少し肌寒いね」

「そうだね。私もう少し暖かめの服を着てくれば良かったなー」

「寒くなるとお腹が空いてくるねー」

「だねぇ〜。鍋とかラーメンとか・・・・そろそろ温かいものが食べたいよね」

「うんうん。それもいいね。私は肉まん、あんまんが食べたいなー」

「そろそろコンビニで売ってるんじゃないのかな。あそこのコンビニに入ってみようよ」

「うん」

二人は近くにあるコンビニの中に入った。

「あ、肉まん売ってるー。わーい。何にしようかなー」

「わたし、カレーまんにしよう」

「じゃあ、私は、あんまん・・・いやチョコまん!・・・・あれ、シロップクリーム
まんもある」

「もう〜、智香ちゃんったら甘党なんだからぁ」

「えへへ」

「でも、『シロップクリームまん』って初めて聞いたなぁ。おいしいのかな?」

「わたし、去年食べたけど中に入ってるシロップクリームが口に甘く蕩けてとてもおい
しかったよ。玲奈ちゃんも食べてみればいいよ。とってもおいしいんだって!」

「私は甘いのはちょっと・・・・」

「絶対においしいんだから」

「まぁ、そんなに言うなら試しに買ってみようかな」

玲奈はカレーまん1つ、シロップクリームまん1つを・・・・智香はシロップクリーム
まん1つ、あんまん1つを買った。
コンビニを出た二人は歩きながらそれらをおいしそうに食べた。

「む、これは意外といけるかも」

「でしょ!」

そういった具合に二人は何気ない雑談を続けながら歩いて行き恩人である彼女の家に着
いた。

「そういえばあの人の名前ってなんて読むんだっけ?『かみみずながれ』さん・・・・?」

智香は家の前にある表札を読んでみた。
表札には『上水流』という苗字が記されていた。

「それは『かみみずながれ』って読むんじゃなくて『かみづる』って読むんだよ。なん
でも鹿児島のほうに多い苗字らしいよ」

「へぇ〜。でも間違えて『じょうすいりゅう』、『かみすいりゅう』・・・・とか読んでし
まいそうだよ。どちらかというと漢字表記が『上鶴』のほうがありがたいな」

「まぁ、それだと意味合いが違ってくるけど言いやすいよね。他にも地域や場所とかで
独特な読み方があるから注意が必要だね・・・」

「・・・・だね」

と、そのとき玄関の扉が開いた。恩人である彼女が現れた。

「おや、よく来たね」

「どうも、こんにちは。今日は秋らしい日ですね」

「そうさね。今日はちょっと忙しくなるよ。立ち話もなんだ、さぁさぁ、中に入ってよ」

「では、お邪魔しまーす」

二人は彼女に温かく迎えられ家の中へ招かれた。






        

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