雨時々ザーメン2 第6話「永遠の絆」





「ねぇ、智香ちゃん。起きて。・・・目を覚まして!!」

すると・・・・

「・・・・ん・・・・んん・・・・・・・あ・・・ああ・・・玲奈ちゃん・・・・玲奈
ちゃんだ・・・・!!」

「智香ちゃん・・・」

「あ、あれ。手が足が・・・・自由に動かすことができる。それになんだか身体が軽い
。もしかして・・・・玲奈ちゃんが・・・・私の身体からあの男を追い出してくれたの」

「うん、そうだよ」

「ありがとう!玲奈ちゃん」

「えっ!!ということは今までのこと知ってるの?」

「うん。あの男からすべて聞かされたよ。今まで私の身体で好き勝手に弄んで私たちの
大切な絆を壊したのもあの男のせいだってことをね・・・・。でもあの時大切な友達を
疑って傷つけてしまってごめんね。冷静に考えると玲奈ちゃんがあんなことするはずな
いもんね」

「んーん、智香ちゃんはちっとも悪くないよ。悪いのは全部あの男だよ」

智香と玲奈の二人は同時に秀明に視線を交わし睨み付けた。

「はぁはぁ〜・・・・この生意気なクソガキ共がぁ、よくも俺を嵌めやがったな・・・・
。ん?な、なんだ、その目つきは!!気にいらないな。ガキの分際で!!いいだろう、
だったらまとめて殺し合うが良い。全員、絶望と恐怖と裏切りと苦しみ、憎しみの果てに・・・
死んでしまえ・・・・!!・・・・・・・・・ぐああああああ!!!」

秀明は苦痛から耐え半透明ではなく赤褐色の液体で手足が消え数本の触れ手に変貌した。
それが三人に襲いかかろうとした。

「ぎゃああっ!!く、苦しい!!!」

「玲奈ちゃん!」

玲奈が触れ手に捕まり身体を締めつけられている。

「ぐははは・・・・。俺の勝ちのようだな。大人しく俺の言うことを聞け。そこに落ち
ているナイフで嬢ちゃんのお友達とそこの女を切り刻め。そうすれば嬢ちゃんの命だけ
は助けてやる(まぁ、助けたところで嬢ちゃんの身体に寄生するけどな、ぐははは)」

「今度は私が玲奈ちゃんを助ける番・・・。誰が言うことを聞くもんか・・・。えいっ!!」

部屋が突然明るくなった。智香は壁にある部屋の照明のスイッチを入れ電気を付けたのだ。

「ぐっ、ぐああああああ!!眩しい、熱い、解ける・・・・・!!!」

秀明の悲鳴とともに触れ手が緩くなった。

その隙に智香は床に落ちているナイフで秀明の触れ手を切り刻み玲奈を助けた。

「智香ちゃん。ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう。玲奈ちゃん」

「うくく・・・・。こんなものでは俺は倒せないぞ」

「だったら、私たちで切り刻むまで・・・・・」

二人は床に落ちているナイフで次々と秀明の触れ手を切り刻んだ。

「このガキ共め。やめろ、やめろ!!!」

だが、秀明に対して憎しみが募った二人は手を止めることはなかった。

さらにそのとき部屋に明るい光が差し込んだ。
雲が薄れ晴れ始めたのだ。

「ぐっ、ぐあああああ!!」

秀明は突如現れた限りなく眩い光により激痛が生じ悲鳴をあげた。

「ぐ、ぐあああ、苦しい、痛い、解けるううううう!!うあああああ!!!」

秀明は激痛とともに身体が乾燥し粉々に灰となりやがて消滅していった。
悪魔は完全に消え去ったのだ。

「午前中は雨。・・・・午後はくもりで雨と思いきや晴れか。予報通りだね・・・・」

「智香ちゃん、大丈夫?苦しくなかった?」

「玲奈ちゃんこそ大丈夫だった?」

「うん、大丈夫だよ。一緒に帰ろう」

「そうだね」

智香と玲奈は誤解が解け心の中から喜びに満ち溢れた。

「じゃあ、気を付けてね」

「いろいろありがとうございました。おかげでこうして大切な友達を取り戻すことがで
きました」

「礼なんていいよ。放っておけなかっただけさ。私もあと二週間くらいこの家の物を整
理したり片付けたりするから帰りにでも寄ってコーヒーでも飲んで行くといいよ」

「ええ、ありがとうございます」

智香と玲奈は彼女にお礼を言い、二人一緒にその場を去って行った。
空はすっかり晴れており穏やかな秋晴れとなった。


そして次の日の朝。

「おはよう、智香ちゃん」

「うん、はよぅ〜」

二人の心の中の雨雲は完全に消え快晴のように光が満ち溢れた。

「今日も良い天気だね」

「うん、そうだね」

二人はあの出来事以来、以前よりも堅い絆で結ばれお互いをより一層信頼し合った。

智香と玲奈・・・・二人の少女は仲良く手を結び学校まで登校して行った。





(了)

        

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