雨時々ザーメン2 第4話「微かな日差し」






そして今日が終わると次の日も・・・・また次の日も・・・玲奈は毎日のように智香(
秀明)の奴隷として過ごし続けた。

(もうこんなの嫌だよぉ。いつになったら解放してくれるの・・・・)

とある日の智香(秀明)の家からの帰り道のこと。
玲奈はすでに我慢の限界を迎えていた。

「大分、あの男に苦しめられているようだね」

「あなたは・・・だれ?」

玲奈は後ろを振り向くと十八歳前後の茶髪の不良っぽい女性が近づき話しかけてきた。
玲奈は最初は絡まれると思ったのだが彼女に悪意や敵意のような雰囲気は何も感じなか
ったため警戒を解いた。

「あの男を知ってるの?」

「まぁね・・・・私について来て」

玲奈は彼女の後を黙ってついて行った。
そしてしばらく歩くと、とある一軒の家の前に着いた。
玲奈はその家に見覚えがあった。そこは忘れたいと思っても忘れられない場所。

そう、そこはあの雨の日・・・あの悪魔と出会ってしまった家だったのだ。

「まだまだ散らかってるけど中に入って・・・」

「・・・・うん」

中に入るとあの日と同様に物は散乱し荒れ果てたままだったが所々片付けられていた。
彼女は玲奈を客間であるリビングルームに案内しソファーに座るように言った。
そして彼女はコーヒーを用意し差し出した。コーヒーはすごく黒かった。

「あの・・・・あなたはもしかして・・・」

「そう、私は数ヶ月前までこの家に住んでいた住人。ある雨の日にアイツが現れてね・・
・・この有様ってわけ」

「あのご家族のほうは・・・」

彼女は煙草を取り出しライターで火を付け吸いながら話し始めた。煙草の臭いが部屋中
に染み渡った。

「ああ、それなら大丈夫。元々、引っ越す予定があって家族はみんなそっちで普通に暮
らしてるから・・・。引っ越す一週間くらい前にアイツが現れてまず妹に寄生して妹に
成り済まして私に近づいて犯そうとしたけど妹の意志でやってるとは信じなかったね
。元々私は人を信じるタイプの人間ではなかったけど、昔から病弱で寝てばかりな妹が
あんなに動き回ることができるわけがないからね。・・・・アイツは病弱な妹の身体にす
ぐに出ていって私の身体に寄生した。だけど支配することができず、外が晴れて明るく
なり始めたのもあってすぐに出ていったけどね」

「え?それはなぜなんですか?」

「・・・・おそらくアイツは健康的で薬や何か刺激的な物を飲んでいたり投与していた
り私のように煙草を吸ってるような汚れのある人の身体には長居できないんだろうね。
結論からしてアイツの弱点はこうさ。それを飲んでみて・・・・」

玲奈は彼女に言われリビングテーブルに置いてあるコーヒーを飲んだ。

「にっ・・・苦っ!!」

「そう。苦いね。それは特別濃くしたコーヒーだよ。コーヒーじゃなくても刺激を与え
るようなものであればなんでもいい。それがアイツを倒すための鍵さ・・・・。そして
アイツは雨水のような液体生物だ。ということは・・・・」

彼女はその後も玲奈に今後、あの醜い悪魔を倒すための秘策を説明した。

「今日はどうもありがとうございました・・・」

「おう。気を付けて帰るんだぞ・・・」

「あの最後にひとつだけいいですか?」

「ん?なんだ?」

「妹さんとは仲良くやってますか?」

「ああ、もちろんさ」

「そうですか・・・・良かった・・・」

玲奈は彼女が見た目によらず親切な人であることが分かり安心した。

玲奈は希望が見え少し元気になり帰って行き、なんとしてでも大切な友達をあの悪魔の
手から取り返すためにも作戦にうつすことにした。

玲奈は心の中の薄暗い雨雲に微かな日差しが照らし出した。






        

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